夜のお騒がせ人 |
作者:麻機様
その夜は夏だというのに朧月夜で、生暖かい風が吹いていた。
「・・いやな感じだな・・・・」
そう言うと、後ろに聳えるまだ明かりの付いた建物には目もくれず声の人は歩き出す。
「・・・・リュオー?何かしていたのか?」
「・・え?」
後ろを向くと度々会う見慣れた顔・・・つまり幻月がそこにいた。
「あ〜・・・・ちょっといろいろあったんだよ」
「ふーん・・・それにしても妙な天気というか・・何というか・・・」
「あ、幻月もそう思うんだ?いやな感じだよな〜」
「・・・・そういえば・・この辺りって「出る」って噂だよな・・・」
「出る?何が?」
「幽霊だよ・・・・何でも何処かの茂みから突然女の子が飛び出してきたとかそうでないとか・・・」
「あやふやな上うっかり誰でもやらかす事じゃんそれって(汗)」
「そうなんだけどな・・・・」
「でもそう言われると不気味だよな〜・・・・」
「だろう?」
などと話しながら二人が夜道を歩いていると、何かが不意に目に付いた。
「・・・・・・?」
「今・・・何か見えたな?」
「・・・・・何だろう?」
「・・・一緒に見るか?」
「そ・・そうだな・・・」
ギクシャクとした喋り方のまま二人が後ろを向くと・・・・そこには確かに、「何か」がいた。
よく見るとそれは少女のようで、幽霊というよりは誰かを待っていると言った感じの雰囲気だった。
「・・・あれ・・・・?」
「なんだ・・・幽霊じゃないじゃないか・・」
「君・・・こんな所で何してるんだ?」
ベンチに座っているその子は、俯き加減の顔を上げその後再び俯くと、ぽつりとこう話した。
「・・・・待ってるの・・・」
「ん・・待ってる?って誰を?」
「・・お兄ちゃん・・・・」
「へー・・・って事は俺達と同じなのかな?」
「何かしらで遅れてるのか・・・なるほど」
「・・・・・・・」
夜だからなのか、それとも見慣れない人がいるからなのか、少女は不安げな瞳で彼らを見上げていた。
その瞳に気付いた。
「あ・・・大丈夫大丈夫、何もしないから」
「そうそう・・・よかったら一緒に待っててあげようか?」
「で・・でも・・・・」
「遠慮はしなくていいから」
「・・・・・・」
普段がどうかはともかく、子供相手だけに優しい話し方で接する。と・・・・
「おーい待ったーー?」
後ろから声がするとその声に弾かれるように少女が走り出した。
「・・・・あれが「お兄ちゃん」か・・」
「似てないな〜・・・・・」
確かに、全然似てなかった。
兄らしい人はこちらに気付かないまま、手を繋いで何処かに行ってしまった。
「・・・・俺達も帰ろうか」
「だな・・」
次の日。
「どいてどいてーーーーー!!!!!」
『ん・・?』
後ろから何かが来るらしく、昨日と同じ二人が振り向くと・・・・・
スケボーっぽいもの(人搭乗済)が幻月の顔面に命中。
「!!!!!!」
「い・・・・たい・・・・・」
「あー・・・・す、すいません大丈夫ですか?」
慌ててスケボー(っぽいもの)が退くと、上にいた人は何処かで見た顔だった。
「・・・・ん・・?」
「あ!昨日の!!」
「昨日・・・・・会いました?」
「会いましたって思いっきり会ったでしょ!!」
「ほら女の子女の子!!」
「・・・・ああ・・いましたねー」
「いましたねーって(汗)」
「あの・・・できれば昨日の事は口外して欲しくないんですよね?」
「何で?喋ってはいないけどなぁ・・・・・」
「そうだな・・・兄妹じゃないのか?」
「ん〜・・・と言うよりは知り合いなんです」
「ふぅん・・・・」
「あの子・・あんまり「見れる」人いないんですよねぇ・・変な噂立ってるし」
『・・・・え?』
「正直俺ぐらいしか相手できないんで、ああやって気が済むまで遊んであげるんですよ」
『・・・・・・・(汗)』
「そんなワケなんでよろしくお願いします。あ、俺は霞星(かせい)って呼んでください」
『・・・・・・・』
「それじゃあまたその内会いましょうねー」
そう言うと、霞星と名乗った人物はスケボー(っぽいもの)に乗ると、何処かに走っていった。
「・・・・あのさ・・幻月・・」
「・・・なんだ・・・・?」
「・・・・噂本当だったんだな?」
「あ・・・・・・・・・」
おしまい。
え〜・・初めての投稿がこんなんですんません(汗)
夏といえばって感じで書いてみたんですがワケわっかんねえよ(オイ)