―其ノ六―

 

エグザードとジン、両者の必殺技の激突によりリング上は再び粉塵に消えた
そして少しづつ塵の遮りが薄くなり始め、誰かの掲げる腕が見える

ズチャッ

審判「ん?・・・勝者・・・・・・」

   「エグザード!!!」

 

観客達「うおおおおおおおおおっ!!」

アナ「やりました!激闘の末、見事勝利したのはエグザード選手ですっ!!」

ブレイザー「まったく・・・冷や冷やさせるぜ」

J・ジーク「ふっ・・・まったく面白い奴だな」

エグザード「オレ様が一番だぁーーーっ!!!」

 

ステージがぼろぼろに破壊されたと言うことで決勝戦は翌日に持ち越された
そして二人はそれぞれの選手部屋で明日の試合を考えながら翌日になるのを待った・・・

そして翌日・・・

 

『ブレイザーVSエグザード』

ブレイザー「まさかこんな所でおまえとやり合うとはな・・・」

エグザード「最初に会った時以来だな・・・あの時の決着付けてやるぜ!」

ブレイザー「臨むところだ!!」

審判「レディ・・・ファイッ・・・

 

「ガァァァァーーーッ!!!」

 

ドゴォォォンッ!!

突如リングの床を突き破って何かが飛び出した
その者は大きく、禍々しく異様な姿をした、正に「化け物」と呼べる者だった

アナ「おーっとぉ!?突如リングに謎の乱入者だぁーーーっ!!」

ブレイザー「何だこいつは!?」

エグザード「人の試合の邪魔すんなーっ!」

「グルルル・・・・」

エグザード「だめだ、こいつ聞いちゃいねぇ・・・」

ブレイザー「こいつ・・・魔力に取り込まれてやがる、エグザード、ぶっ倒すぞ!」

J・ジーク「私にも手伝わせてもらおうか」

シュタッ!

司会席からJ・ジークがリング上へ降り立つ

エグザード「ジーク!」

J・ジーク「しかしこれほどの魔力、一体何処から・・・まさか!?」

J・ジークに一つの予感がよぎった、
そこに見覚えのある二人が現れる

轟蛇「おっと、俺達も参加させてもらうぜ!」

ジン「これは試合どころではなさそうだしな」

ブレイザー「轟蛇!」

エグザード「ジン!」

轟蛇&ジン「「だぁぁぁーっ!!」」

J・ジーク「いかん!そいつは・・・」

「グルゥ・・・」

シュッ・・・

轟蛇&ジン「「!!?」」

突然あの巨体が全員の目の前から姿を消す
何が起きたのか分からない二人は、その場に立ち止まるしかなかった

ブレイザー「・・・っ!?後ろだ!!」

轟蛇&ジン「「え?」」

シュゥン・・・

二人が振り向いた先にはあの禍々しい巨体が目の前に姿を現していた・・・

「ガァァァーッ!!」

バシィーンッ!

・・・ドガガァァーンッ!!!

轟蛇とジンの二人は一瞬にして腕に弾かれ、左右の壁に吹き飛ばされる

 

ブレイザー「くそっ、本物の化け物だな」

J・ジーク「奴は・・・おそらくプリズナーザクだ」

ブレイザー&エグザード「「何!?」」

エグザード「けど、あいつは魔獣じゃねぇし、魔力なんか操るどころか使える訳・・・」

ブレイザー「・・・まさか!?」

J・ジーク「あぁ、奴は斧についていた魔石に取り込まれたんだろう」

「ダークプリズナー、そいつらを捕らえろっ!」

エグザード「そうか、今のあいつはダークプリズナーか・・・って誰だ?」

ブレイザー「・・・特別観覧席からだっ」

特別観覧席を見るとその声の主、グランジル国王が身を乗り出していた

エグザード「あいつ・・・このままぶっ飛ばしてやろうかぁ!」

エグザードは青筋を立てながらHEEL−00を国王の方に向けて喋る

J・ジーク「そんな暇は・・・無さそうだぞっ!」

エグザード「えっ?」

ダークプリズナー(以下DP)「グヴァァァーッ!!」

DPは掌から二本の斧、「ラピスラズリ」を出現させ、三人に接近する

ガキィッ!

DP「グ・・・ヴゥ・・・」

ブレイザー「くそっ・・・なんて馬鹿力してんだっ・・・」

エグザード「腕が・・・つりそう・・・」

ブレイザーは左腕のショットダート、エグザードはHELL−00でDPの攻撃をギリギリで受け止める

J・ジーク「そのまま攻撃を押さえて時間を稼いでくれ、一撃で決める!」

ブレイザー「さっさとしろよ・・・そう長くは持たねぇからなっ」

気を静め、詠唱を始めるJ・ジーク

J・ジーク「・・・どけ、二人共!!」

ブレイザー「命令すんなぁ!」

それぞれ左右に避ける二人
J・ジークの背中から高圧の水が噴出す、そしてDPの正面を高速で突っ込んでいく

J・ジーク「双覇一閃流・・・月華!」

ナイトゲーベルを素早く横一線に斬り付けるJ・ジーク

ガキィィィンッ・・・!

J・ジーク「な、何・・・!?」

ナイトゲーベルの刃はDPの左腕に弾かれる
バランスを崩したJ・ジークにDPの右腕が襲い掛かる

ドゴフッッッ!!!

J・ジーク「ぐはぁぁっ!!」

ドゴゴォォォンッ!!!

エグザード「ジーク!?」

腹部に強烈な一撃を喰らい、壁に深くめり込むJ・ジークの体
間も無く、DPはブレイザーとエグザードに襲い掛かる

ブレイザー「ちぃ!今度はこっちを狙ってきたか!?」

エグザード「くそぉぉっ!グラビティ・ゼロ!!」

放たれた弾丸がDPの胸に直撃する
その着弾点を中心に重力の鎖がDPの動きを止め拘束する

DP「ガ、ァァァ・・・!?」

エグザード「今のうちに畳み掛けろ!こいつのパワーじゃそう押さえてられねぇ!」

ブレイザー「わぁってる!」

 

J・ジーク「私も・・・、まだ殺られた訳では・・・無い!」

ブレイザー「ジーク!?まだ生きてやがったのかっ!」

J・ジーク「人を勝手に殺すな・・・(呆汗)」

ブレイザー「まぁいいや、同時攻撃するぞ!羅刹咆哮乱舞!!」

J・ジーク「この状況では致し方あるまい・・・・薙爪ぇ!!」

DP「グォ・・・?!」

ドォォォォンッ!!

二人の技が大きな爆音を立てDPに直撃する
しかし、そこには傷一つ無く、未だ立ちはだかるDPの巨体があった

DP「キュゥォォォ・・・」

エグザード「こいつぅ、マジでばけもんだぞ!?」

ブレイザー「くそっ・・・こんな奴、どうやって相手するんだ!」

と、そこにJ・ジークがある一点を指差した

J・ジーク「奴の力の源は暴走している魔力だろう、即ち、あの額にある魔石を破壊すればおそらく・・・っ」

ブレイザー「なら、エグとジークは奴の動きを止めてくれ、その間に俺があの魔石を砕く」

エグザード「わ、わかった!」

J・ジーク「考えてる時間は無い、一瞬で決めろ!」

ブレイザー「あぁ、あの野郎を叩き起こしてやる!」

グランジル国王「ダークプリズナー、何をやっている!?さっさと奴らを叩きのめせ!!」

DP「グォ・・・、ガァァァァァ!!!」

三人の立つ場所へ突進するDP
ラピスラズリを構え、振り下ろした、その刹那

カキイィィィン!

DP「!!?」

エグザード「おっと!」

J・ジーク「貴様の動きを止めるのが役目なのでな!」

DPの両腕にエグザードはベルディスのコードを絡め、J・ジークはナイトゲーベルを交錯させ動きを固めた

ブレイザー「よしっ、そのまま押さえとけよ!」

「新っ必殺!ブリットォォォ・・・パニッシャァァァーッ!!!」

ジュゴォォォォォンッ!!!!(想像)

・・・・ピキッ

額の魔石に一つのひびが入る
そしてそのひびは次第に大きくなり始め・・・

パキャァ・・・ン

DP「ガァァァ・・・・!!」

ズズゥゥゥン・・・

大きな音を立ててうつ伏せに倒れるDP
そして煙を出しながら、その異形の姿は元に戻っていく・・・

ブレイザー「魔石の暴走を起こしていたとはいえ、こいつの体力ならまだしぶとく生きてるだろうな」

J・ジーク「こやつにはまだ罪を償わせなければならない、ここで殺す訳にはいかない」

エグザード「あいかわらずジークはかったいな〜」

 

グランジル国王「くっそぉ・・・私の用意した宴をしくじりおってぇ・・・」

キリキリと歯軋りをする国王、その声はリング上に立つ三人にも聞こえるほどの大声を出す

エグザード「・・・さぁ〜て・・・」

ブレイザー「この落とし前はきっちり付けておかないとな」

ドゴォォォン!!

グランジル国王「な、なんだ!?」

グランジル国王は驚きながら辺りを見回すと・・・
部屋の金庫の直ぐ近くに大きな袋を担ぎ、旧世代の泥棒の格好をしたブレイザーとエグザードが視界に入る

グランジル国王「そ、それはまさか私の・・・!?」

袋の中身は金、銀、金剛石等、大量の貴金属、それが袋からはみ出していた
そう、それらはすべて、グランジル国王の金庫にある財宝だった

エグザード「手癖悪いんだよね〜、オレ様達♪」

ブレイザー「人のせっかくの試合を台無しにした報いだ、これは頂いていくぜ!」

ダダッ!

グランジル国王「待てぇーっ!!?者共、やつらを捕まえろ!!その場で殺しても構わん!!」

兵達「わーっ!」

数え切れないほどの兵達が二人を追いかけてくる
そのままリング会場に逃げ、二人はJ・ジークとユミカを連れ出そうとした

ブレイザー「ジーク、ユミカ、さっさと逃げるぞ!」

J・ジーク「なっ・・・!?おまえら一体何をしたんだ!?」

エグザード「ちょっとぉ・・・ね!」

ユミカ「えっ、えっ・・・えぇー!?」

兵達「わーっ!」

 

エグザード「ぜぇ・・・ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

ブレイザー「にっ・・・逃げ切れたか・・・?」

J・ジーク「こ、ここは中心街から・・・かなり離れた・・・ところだから・・・な・・・」

ユミカ「な・・・なんで私まで・・・こんな目に遭うのよ〜・・・」

4人は深く深呼吸をして息を整える

ブレイザー「・・・ふぅ・・・・・・当分、というか一生あの国には行けないだろうな」

ユミカ「君達のせいで私まで共犯扱いじゃないのよ、しかも結局宿代払えてないし!」

エグザード「いや、あれツケって言ってたじゃ・・・」

ユミカ「あれはあれ!あと期待させるようなこと言う君達が悪い!」

ブレイザー「んな無茶苦茶な・・・」

ユミカ「責任取りなさい!ツケ分だけ仕事出来るまで付きまとってるからね!!」

ブレイザー「ならここに大量の宝石が・・・あぁ!?」

J・ジーク「袋に穴が・・・見事に空っぽだな」

ブレイザー「結局俺達が今回やったことは・・・」

J・ジーク「無意味、だな」

ブレイザー&エグザード「「またこんなオチかよーっ!!」」

 

夕日が空を暁に染めている中、二人は果てしなく途方にくれていた・・・

 

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